BMW R75のタンク修理

 

BMW R75のタンク(兵器?)修理

 
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 BMW R75をご存知でしょうか。
第2次世界大戦中、ドイツ軍の軍用オートバイとして、有名な車両です。単車なのですがサイドカー付きが基本スタイルとなっています。側車には、MG34機関銃が装着されていて、映画や映像によく登場する誰でも一度や二見たことのある名車です。
 
タンク右側の3つの穴は、チエンジシフトのガイド固定用取付位置です。
 
 
 
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 この度、このタンク(これは、軍用車両なので、兵器?)の修理を依頼された事がありましたので、過去ブログとして、記憶を基に書いてみたいと思います。
 
中央に空いた円形状の穴は、エアクリナーケースになっていて、タククの下側から左右に筒状のパイプが立ち上がってきています。戦場では、沼地、河などの浅瀬を水中走行する必要性から、混合気に水の浸入を防ぐ目的で、出来る限り高い位置から吸入空気を取り入れる装置で、この場所に設置されています。本来はこの上にお椀状のカバーが装着されます。
 
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タンク上面左側には、砲弾で損傷した創(あえてこの場合、傷という字は当てはまらない。)が在ります。
 
勿論、古創はヨーロツパ戦線?いやこのサンドブラウン色からしてアフリカ戦線かな….
 
 修理依頼は、戦後取りはずされたエアクリナーインナーケースの修理とエアーシャツターの取り付けを行いました。
 
  
 
 
 
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  タンク下側は、こんな風に成っています。話しによると、オランダから来た車両だそうです。鉄板が厚く結構重たいです。左右に開いた小さな穴は、エアクリナーケースに溜まった水抜き用のドレーンす。
 
 
 
 
 
 
 
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まずは、外側についていたケースアウターを、エアーソータガネを使って取りはずします。
 
2重構造に成っているので、外側のパネルのみ外します。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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結構堅牢な造り、厚くて、確りとした構造、溶接とハンダで固められています。外すのに苦労しました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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こんな感じでインナーパネルが接合されています。このタンクは、鉄板も厚く、複雑な構造と堅牢な仕事がされています。この時代MG34汎用機関銃であった様に、職人の精密な凝った造りがされています。
 
当時としての最高水準の技術を投入されたバイク。流石、自動車立国ドイツを感じさせられます。
 
 
 
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ハンダ部分を一度研磨して、載りを良くする為に、もう一度ハンダ付けします。
 
 
左側にあるアウターケースもハンダ鍍金しておきます。
 
 
 
 
 
 
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 ハンダ付していきます。ケースを予熱しながら流し込んで行くのですが、加減が難しい。熱し過ぎて、流落ちるし、冷たいとハンダが浸透しないからです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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ハンダ付が終了
 
ケース中央の穴の開いた筒状の外側に、シャツターが取りつく
 
燃料キャプは新品部品だそうです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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ヨーロッパでは、日本と違い古くから旧車文化があり、こういった古い車両のパーツもリプロダクトされているそうです。
 
 新品部品が入手出来ると言うことに驚きを感じます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
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 シャツターを付けた状態
この筒状のシャツターの廻りに、湿式油のエアーフイルターが巻き付いてくるのかと思います。先端部分に着くのはバルブとなっています。
 
 
こんな感じでグリップ付きのチョークレバーが装着されます。レバーの位置を動かすことで、シャツターが閉じられ、チヨークONさせて、エンジンを始動させます。タンク本体に、ドイツ語でオープン、クローズが浮き彫りが施されています。とりあえずここまでで作業終了しました。

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